カラスは頭がいいことで知られています。
道具を使い、問題を解決し、将来に備えていることが研究で明らかになっている。
さらに、カラスの行動から、知能のもうひとつの側面が見えてきます。
それは、共感性である。
オーストリア・ウィーン大学の行動・認知生物学者であるトーマス・バニャは、何年も前に博士論文のためにカラスの行動を研究していたとき、2羽のカラスの戦いを見ていた仲間のカラスが、まるで負けたカラスを慰めているように行動することに気づきました。
彼はそれをこのように説明した。
2羽のカラスがケンカをしているとする。
一瞬、負けたカラスはもう一羽のカラスに追いかけられ、隅っこに逃げ込んで震え上がります。
すると、もう一羽のカラスは興奮して、その上をキャーキャー言いながら飛んでいく。
一羽のカラスは負けたカラスのところへ行く。
そのカラスは優しく鳴きながら、徐々に負けているカラスに近づき、羽を伸ばして触れようとします。
もう一羽のカラスが後ずさりすると、また少しずつ近づいていく。
約2分後、そのカラスは負けたカラスを毛づくろいする。
ヴァニエはこのようなケースを152件記録している。
快適な毛づくろい行動はチンパンジーやボノボで報告されているが、鳥類では今回が初めての先駆的な研究である。
霊長類の行動を長年研究してきた米国エモリー大学の動物行動学者フランス・ド・バール氏によれば、今回の研究は、霊長類で報告されているような行動に敏感な動物がいることを示すものであるとのことだ。
一部の動物が敏感であるという事実は、数十年前から徐々に認識されていたが、これまで過小評価され、人間ほど重要視されてこなかったという。
現在では、多くの動物が人間と同様に複雑な心を持っているというデ・バールの見解を受け入れる行動学者もいるが、動物の精神生活を探求する科学的研究は依然として議論の的となっている。
科学者たちは、進化によって感情を獲得したのは人間だけではないことに同意している。
感情とは、動物にある種の行動を起こさせる心の状態である。
私たちは空腹や渇きを感情とは思わないかもしれませんが、それでも私たちを行動へと駆り立てる心の状態であることに変わりはないのです。
今日は以上です。